◆風当りが強いのは、それによって、自分のほうが変わらなければならなくなるから
哲学的な話の中で、ビル・ゲイツ氏の辿ってきた人生が語られることがあります。
ビル・ゲイツ氏は時代の申し子のような方ですが、このような人は
類を見ない
ので、最初は深い孤独を味わったり挫折を経験します。
大きなことをするとか、そういうことではなくて、生きづらさを抱えている人の中には、
これからの時代の生き方を示す人が多く存在する
のだと思います。
マイノリティとは、その呼称ではないか
とさえ、思うことがあります。
とても大きな役割を背負っていることがあって、
そうした前例を受け継ぎながら、私達は成長する
ことができるわけです。
仏陀やプラトンも、普通から抜けだした人です。
「普通」という限られた経験から抜け出し、
自分だけの小さな幸福に沈殿せずに、もっと広い視界から未来を展望
していました。
ごくありふれた日常の中にさえ、
少数派の人たちのおかげで、他の人を利することに繋がっている
ことがあります。
例えばエレベーターも、最初は車椅子を使用する人たちのために設置されました。
けれど、いざ設置されたなら、高齢者やベビーカーを押す人、思い荷物を持った人を満足させることへとつながるのです。
本当は誰もが生きづらさを抱えていて、
多かれ少なかれ、
普通から外れているけれど、声を上げられないだけ
であったりするのです。
どうして声を上げることができないのか、
一つには、
間違っているのは自分のほうだ
と考えるからです。
もう一つには、
人から拒絶されることを恐れる
から。
何か他の人と違う意見を言うと否定されるのではないか、という心が働いてしまうのです。
自分のことを認めてほしいと思うのは当然で、私なんかは、その欲望とともに生きています。
でも、人から良く見られるために、自分を偽るようになったら、苦しむことになります。
そうしている間は、他の人の欲望やニーズに振り回され続ける
ことになるし、
抑制されているので、
自由でいられるのは、ほんの限られたエリアだけ
になります。
どんなこともそうですが、
その考え方が革新的であればあるほど、最初のうちは人の抵抗にあいやすい
ものです。
それが「変化」を意味すると感じられるときほど、人は新しい考え方や意見に抵抗します。
そして、それは仕方がないことなのです。
人は、自分に「よく馴染んだもの」が好きだから
◆生きやすくなるための最善は、自分の心を正直に語っていくこと
それを知ってか知らずか、時に力を誇示することでなんとかしようとする人もいます。
本当は、そうして
無理やりなことをする必要も、「人から離れる」選択をすることも必要ない
のです。
ただ誠実に、
自分の心を守りながら、自分の意見を正直に言えるようにしていくこと
が大切です。
革新的な人達には、
物事を白か黒かに分ける二分法に固執しない、
普通という基準は絶対ではないのだという認識に立たせていく役割がある
といえます。
元より私達生命を与えられた者は皆、多様な生き方を示す存在であり、
要はそのことに問題意識が向くかどうか
です。いつの世でも、
そうした人達が、少しずつ、境界の壁を壊しながら光を見せてくれて
いました。
あなた自身、
自分を欺かない
という道を選択したとき、初めて未来を照らすことができます。
他人の目に映る自分ではなく、あなた自身を生きるようになるからです。
それができると、
自分を理解してくれない人に敵意を向けることも、
期待以上のことをしなくてはならないという気持ちに追い立てられることもなくなるでしょう。
あなたがここまで「辛く」「苦しい」思いをしてきたのだって、ちゃんと意味があります。
弱い立場に置かれている、他の人たちの心強い友となるためには、
あなた自身がそれを経験することが必要だから
です。
弱さを知る人は、他の人のそれを許せたり受け止められ、距離を縮めることができます。
世のなかには、
そうした人達の、「救いたい」「助けてあげたい」というやむにやまれぬ思い(慈愛)が、
新しい道を開いていくことがとても多い
のです。
そうした人達が、私達を更に進化させ、深化させてくれます。そして、もっと遠くへ、まだ見ぬ広い場所へと導いてくれるのだと思います。