◆その感情の中にあるもの
その時には違和感を感じただけ。でも
後から振り返ったとき、
自分はとても酷いことをされたのだ、
と気付いて
やるせない思いになることがあります。
自分の大事な人が心に深い傷を負っていた
とわかることもあります。
そのようなとき、あなたが責めているのは、相手というよりは
未熟だった自分
であるのかもしれません。
あのとき、
もっと物事がよく見えていれば
という後悔をしてしまうこともあります。
長い間、親から間違った観念を植え付けられ育った、心や身体の自由を奪っていたとわかり、
人生を返して
と言いたくなるが、あるかもしれません。
他にいくらでも対処法があったかもしれない、
と考えると、
それを実行出来なかった自分
が許せなくなることもある、
という感情の中には、複雑な感情が幾層も絡まっている
ものです。
◆「その出来事さえなければ」と、過去の出来事に心が縛られたままになっているから苦しい
それは許せなくなるほど大きなことなのか、
そう、他の人から思われることがあるとしても、
あなたにとっては、決して
小さなことではありません。
許すに値しない出来事なので、許しには困難を伴います。
それでも、
許すことができないままでいることは、
圧倒的にマイナスなことのほうが多い
のだといえます。
この先、同じ危険を避けようとする、
その防衛的な態度は、
あなたに危害を与えない人に対しても、親しい関係を築くことをできなくしたり、
豊かで温かな情感を味わうことを阻害する
から。
もっと悪いことに、あなたが許せないでいることで、
嫌な相手との関係を
心の中でいつまでも「保つ」
ことになります。
それは
いつまでも過去に生き続ける
ことでもあります。
本当は未来に進むことができる、だけど
許してしまったら負けだ!
と思えるかもしれません。
そう思っても、結局は
相手の行為によって、自分が負の感情を負わされている
のです。
実際、
苦しんでいるのは、許せないことをした相手ではなくて
あなた
なのであり、
相手は覚えてもいない
かもしれないのです。
また、
「許す」ことが、
大切なものとの関係を断ち切ることなってしまうようで
嫌だ
と思うこともあります。
たとえば
大切なものや関係を壊された、などの場合です。
許すことで、
その大切なものを諦めることになる
気がしてしまうのです。
恋人を友人に奪われた、
などもそうです。
だけど、
相手に謝罪させたい、打ちのめしたい、
という敵意や怒りが湧いても、それによって好転するわけではないし、
幾ら頭の中で相手を打ちのめしても、
現実には叶わないことのほうが多いでしょう。
だから、
許さないとしても、
その人とは
違う価値観を持っているのだ、
と認めることが、許すことになるのかもしれません。
相手と自分の違いを受け入れること、理解すること
は、
誰かを「愛する」時と同じだから。あなたの傷を癒すことになるのだといえます。
人生は
何かを終わらせ、新しいものを受け入れていくことの繰り返し
ともいえ、殆どの人は
人生の節目節目で、このような問題に直面します。
自分は一生許さない!
と誓っていたりしますから、
そろそろ許したらどうか、と人からいわれたら、
絶対に無理、と言いたくなるかもしれません。
◆許すことができないことに、どう向き合ったらいいのか
許せない!
という苦しみに終止符を打つことができるのは、
相手から苦しんだ分の見返りを受け取った時
でしょうか。
誠意ある謝罪であったり、
相手も同じくらいの苦しみを味わったと知ることができたとき。
あの忌まわしい出来事を引き起こした相手には、何の罰も与えられないのではないか、
あまりに不公平ではないか!!
これが、あなたの心の叫びかもしれません。
でも、
そのような人は、他の人からも同じような理由で憎まれている
可能性があり、
人の恨みをかう人というのは、
自分自身の創り出した「悪しきもの」の深み
にどんどんはまってゆきます。
あなたが自分の身を犠牲にして復讐する必要などない
のです。
その人の人生そのものが、その人を苦しめることになるから
です。
もしもあなたが
その時味わった「絶望」と手を切り、あの日あの時のことを客観的視できるようになったら
新しい物語
を手に入れられます。
「許す」は、
好ましくない状況が起きたことを大目にみたり、
それでいいと思っていないのに
いいと思っているようなふりをすることとは違うのです。
否定的な目を向けるのをやめ、
縁を切り、
自分を悩ませている人や出来事から自分の権限を奪還し、
幸福になる道を選ぶこと
です。
あなたと、あなたが許せないと思っている相手との関係に決定的な違いがあるとしたら
あなたは、
あなたを苦しませた人を置き去りにしてより高い境涯を味わい、
相手は
人に苦しみを与えた自分のまま人生を生きていくことになる、
ということです。
あなたは、
過去を肥やしにより大きく高く飛翔してゆくことができます。
境地は見る世界を変えます。
に関わり続けるということは、
そのような人生に自分も巻き込まれるということでもあるので、
いつまでも心にかけることは避けるべきなのです。
過去を終わらせることができるのはあなただけ
です。
人生の新しいページを開くためには、古いページを閉じる必要があります。