◆自分に備わった美徳のほうを大切にしよう。
あなたは、とても優しい人で、
いつも自分の言いたいことを我慢して、他の人に発言や手柄を譲ってしまう
のではないでしょうか。
だから、時々自分だけ「損」しているような気持ちになったり、ふと落ち込んでいるとき、
「影が薄いって、思うのですか」でもお話ししているようなことになりがちかもしれません。
何事も一長一短で、
自己主張できる人もまた、気をつけていないと、
「おっせっかい」なことを言ったり、決めつけたりする
おばさんやおじさんになってしまう可能性があります。
私達は、ただでさえ年をとると「頭が固くなる」傾向が強いのです。
どのような力も、それを向上させるには、
それをいかに有効に活用するか
という実践の結果としてもたらされるのでなければ、開いていけない
ように思います。
「自分の意見を言いなさい」、
「思ったことは何でもいいなさい」といわれて育つと、
それができる人のほうが有利であるかのように考えるかもしれません。
けれど、
それが社会経験として自然に身についていくものではないと、
かえって生きることが難しくなってしまうこともあります。
どんな力もそうですが、
その裁量が備わっていないうちに手に入れようとするのは、危険
ですらあります。
自己主張しなくてはならない
と考えるとき、たいてい
「何か言わなくてはならない」と考えるほうに忙しくなり、
聞く耳のほうが疎かになってしまう
傾向にあります。
人の話を聞くより、自分が話すことに気をとられるあまり、
新しい価値観を受け入れる事ができなくなって、
人生の楽しみを味わい損ねてしまう可能性もあります。
「発言力を養う訓練」は、とてもよいことです。
でも、
力は、それを必要とする現場で自然と身についていくものだし、
あなたの控えめな印象や話しやすい柔らかさなどの美徳を損ねてまで、手に入れる必要もないと思います。
◆いざというとき「NO]と云えれば十分じゃないか。
自己主張できない人は「自分の考えがない」のであり、ゆえに「人のいいなりになりやすい」
と考え、
親心から「自分の意見をちゃんと言えなくちゃいけない」、
と言われることも多いと思います。でも、
もし
「今から、私どもの宗教に入ってください」と統〇教〇の人に言われたら、あなたは「イエス」と言うでしょうか。
あなたが、ある人から無茶苦茶な要求をつきつけられたり、自分の人生の舵を自分でとれなくなるようなことが起きたとき、
それに対し
拒絶することさえできればよい
のではないかと思います。
私自身、自己主張できないので、朝見ている「羽鳥慎一モーニングショー」の、玉川徹さんのキャラが大好きで、
振り返ってみても、男女問わずそういう(物申す)人が好きで、羨ましく、尊敬の眼で見ていたりします。
また、
そういう人を上手に諫める存在がいると、よりその力は発揮されやすくなる、
先の番組でいえば、羽鳥慎一さんというベテラン司会者がいるから、魅力的な番組が成立しているのだと思います。
上手に自己主張できる人は、自分の中に、この両者を育てることができているんだと思います。
ちょっと言葉は悪いですが、女性が男性を上手に操作していることを
「手のひらで転がす」なんて言います。
私なんかは、この言葉を聞くとドラマ「西遊記」の中で、お釈迦様が
威勢よく暴走する猿を、静かに微笑みながら諭していく
シーンを想像してしまうわけですが、
手のひらで転がっている側は、「孫悟空の猿」のように
うっかり暴走しかねない人で、
対する転がす側は、忍耐と工夫の人
であるように思います。
普段は従っているように見せかけて、自分の思う方向に相手の気持ちをコントロールするのですから、
発言力云々よりも
(男性であっても、)これができる人のほうが実は上をいっている
のではないでしょうか。
あなたが、「大人しく見られる」雰囲気があって、損しているように感じるなら、
静かなたたずまいの中に、そうした気品を備えることのほうが有利
ではないでしょうか。
◆自己主張せずに生きられるのは、凄い能力。
「自己主張できない」と思っている人の中には、
ある日を境に、寡黙になってしまったケースもあると思います。
著名人を見てても、以前はよくお話しされてたのに、発言を控えるようになっていく方がいます。
自分の発言に影響力があると思えば慎重になるし、
やはり、言葉の使い方次第で、人を救うこともあれば傷つけることもあるからだと思います。
思ったことをそのまま口にすることは、やはり危険なこともある
し、行き過ぎると調子にのっていると思われ、かえって人格を損ないます。
自己主張苦手は私は、稀に
勢いよく発言したものの、発言したがために悩む
ことがあります。
普段自己主張しない人は、発言したらしたで、
あんなこと言って、でしゃばりだったかなぁ。
黙ってればよかった
なんて考えて、眠れなくなることもあるのではないでしょうか。
もしそうなら、
たぶん、「目立たぬほうが安全」だと、どこかで分かっているんだと思います。
発言力があって、目立つことが才能なら、
静かに
目立たず居ることも、幸せに生きるために備わった
才能なのだと思います。その証拠に、
目立たない技
◆自己主張より磨くべき能力
あなたは、「歌」を歌いますか。
私は、よくカラオケに行くのですが、普段言いたいことが言えないだけに(~_~;)
歌にのせて、自分の思いを伝えていたりします。
でも、人と一緒に歌うとき、
「俺の歌を聞け」とばかりに歌う歌い方は聞きがたく、嫌厭されたり、しらけさせてしまうことがあるのです。
セールストークもそうですが、
やっぱり「自分がどんなにトークがうまいか」聞かせてやろう、というのでは誰もノってこないわけで、
聞く耳をたててもらえるのは、たいてい
心のともなった、相手が参加しやすい、ノリのよいアピールです。
おととし、
「車の買い替えって、検討されてない・・ですか」と車のセールスに来た若い男の子がいたのですが、
決してトークがうまいわけじゃないのに、いつの間にか30分も玄関前でしゃべっていて、
次に近隣を歩いていた時には、
「あら。神谷君、ちょっと太ったんじゃない?
さては昇格して美味しいもの食べてるんでしょ。」と、私から声をかけていました。
そのとき、こちらから話をさせるなんて、すごい子だな、と思ったのですが、案の定、数年後は
支店長に昇格したそうでした。
大人しい人も、そうでない人も、
誰もが「自分なりの正義」をもって生きています。
そして、是非とも「自分の希望のほうを通したい」と思っているでしょう。
感情の動物である私達は、
ちょっとした「意見の食い違い」から波風が立つことも、しょっちゅうあります。
本当にみんなが言いたいことを主張するようになってしまったら、
険悪ムードを漂わせながら食事しなくちゃならないかもしれません。
国会議員や総理大臣ともなれば、発言力も必要ですが、何よりも
人と仲良くなるには、
まずは「相手を思いやる」とか「理解」「感謝」といったことが大切
で、
であるとすれば、意見の主張の前に、
聞く耳をもつことのほうが大切
です。
実際のところ、あなたが「受け入れやすい」と感じるのも、そういう人ではないでしょうか。
私達は、「うまくいかなかった」現実を生きて
骨身にしみて知っている
ことによって、その先へようやく進め、
ー例えば
ここぞという時に気の利いた一言を言えたり、小さな声を拾い上げられるようになるなど、
本当にそれを活かせるようになるのだと思います。
あなたは、
それができない「今」を心配してしまうかもしれないけど、
普段は死んでるように黙っている人だって、
主張せねばならない状況になったときは、
必ず自然に主張している
ものです。