◆時に訪れる虚しさにどう対処すればよいのか
週に一度、娘の外出につきあわされることがあります。
今は特にこんな時期(コロナ禍)なので、買い物以外は誰かに「行こうよお」と言われたり、「来なさい」という通達が無い限り、外に出掛けないので、外に「連れ出してくれる」人がいるのは「有り難い」と思っています。
呼び出しておいてなかなか降りてこない娘を迎えにアパートの五階まで上っていったとき、空が綺麗すぎて暫く見入っていました。
自分にも地上から離れる時が訪れたら、この世界はどんな風に見えるのかなと想像しながら、このときを「忘れないようにしよう」と思いました。
私の中で
「このときを決して忘れない」は結構重要で、占いでも私の人生の鍵は「思い出」だと言われました。
それはいいとして、私達は日々の生活に追われていしまい、学校や会社の外側に広い世界があることを忘れていることがあります。
アランは言います。
憂鬱な人に言いたいことはただ一つ。
遠くを見てご覧なさい。
憂鬱な人は殆どみんな、読み過ぎなのだ。
人間の眼はこんな近距離を長く見られるようには出来ていない
「幸福論」
と言っています。
人は、放っておくと視野が狭まってしまうようです。
他の多くの哲学者達も散歩を日課にしていたといいます。
たまには外を歩いて遠くを見つめたり、空を見上げ、心を解放させること・会社や学校の外にも広い世界があることを思い出してみることが大切ではないでしょうか。
◆「フロー体験」は、健全な精神のために役立つ
ふと気持ちが緩んだ時にも、言いしれぬ虚無感に襲われますよね。
これまで休まず走ってきたけれど、子供達も巣立ち、仕事をせずとも生活していけるようになり・・これから次の人生がスタートする、という時になって
「なんのために生きているのだろう・・」なんてことを考えてしまう人もいるかもしれません。
そんな時は、「何かの役にたつ」という考え方をやめてみることです。
以前「フロー」について記述しましたが、「今ここ」に集中できる何かをもっていることは、そういう時に役立ちます。
それは自分の小さな自我を解放させる時間です。
それがあなたに生きている実感を取り戻させてくれるのです。
◆新しいものとの出逢いで生命を躍動させる
今という時代は、「面白探し」ではないかな、と思います。
「面白くて楽しいか」ということが基準で、「社会とか状況について云々」よりも「感覚とか感性にどう働きかけるか」といったことに意味がある、そうでないものは「ダサい」と位置づけらてしまう、そんな傾向があるのではないでしょうか。
「面白い」ことを見つけること自体は悪いことではないと思っています。
面白いものにであうと、目の前がパッと明るくなって生命力が躍動します。
あなたの生命を躍動させるものはなんでしょうか。
それは、「何か新しい意味に出逢う」ことでもあります。
「図書館が近くにある」地域の人は長生きする、と言われているのも頷けます。
本は人の好奇心を刺激するからです。
新しい世界を開くもの、新しい自己発見・自己の創造がなされる、自己の小さな殻を打ち砕くもの。
あなたの内なる世界が一挙に広がると、生命力が沸き上がってきます。
新たな人との出逢いも、人をワクワクさせます。
◆虚無感をなくすことはできるのか
仏法説話でも、こんな話があります。
ローヒタという名前の神が、釈尊に次のような質問をしました。
我々が、生ずることもない、衰えることも、死ぬことも、虚無に帰することもない、そのような世界の果てに、私達は到達することができるのでしょうか
これに対して釈尊は言います。
生ずることもない、衰えることも、死ぬことも、虚無に帰することもない、そのような世界の果てに、私達が到達することはできない。それが私の主張である
ローヒタの表情は、まるでつきものが落ちたようにパッと変わったといいます。
勿論、「到達できない」というのは方便です。
ですが、時に私達はこのような答えがないとわかっている問いを繰りかえし自分に投げかけていることがあります。
今の自分から目をそらすために、知らず知らずやっていることがあります。
釈尊は言います
そのような問いに、私がどう答えたところで、あなたはまた同じような疑問を起こすだろう。
そのような問いは、現実のあなたの幸福には無関係だ
◆心の声を聴き、自己を取り戻そう
今起きていることは全て、自分の力を内なる世界へと呼び戻す働きかけ、あなたが本来もっていたものを取り戻すためにあります。
虚しさを感じる時には何を取り戻すべきなのでしょうか。
ショックを受けるかもしれませんが、その欠けているものとは、まさかの「自己」であったりします。
あなたは愛情豊かで、人との調和をとても大切にして生きている人です。
ただそれが、あなたの自我意識を弱めていることもあります。
他の誰かと心が触れあうと、その人と一体になってしまう傾向はありませんか。
そのせいで、子供や友人、パートーなど身近にいた存在が離れてしまうと、支えを失ったような気持ちになってしまうのではないでしょうか。
自分にとって何が本物で自然なのか、あなたはこの世界で自由に探索していくことができます。
子供のように心の奥から聞こえる衝動があなたの自我を形成し、それに基づいて行動することが、あなたの自意識を強くさせていきます。
時には欲しいものを手に入れるために、アグレッシブルに闘う必要もあるでしょう。
決断が間違っていると気付いたら、さっさとやり直したらよいのです。
あなたが強くなっていくのは、そういう時。
やり直すことを恐れないことです。
あなたの心の声に共鳴するものから導きを得ていくことが大切です。
この世界に生きている人は、誰でも自分なりの生き方をもち、追求していく必然性をもっているのです。